


早く見つけ早く治すための医療技術が大きく進歩してきているのですね。
昔はがんというと「助からない病気」というイメージが強かったのですが、今では、「早く見つけ早く治す病気」という認識が生まれています。
病気の原因を退け、予防することを第1次予防といいます。
これに対して早期発見は第2次予防といいます。早期発見・早期治療、これを多くの人に広げることで、がんの驚異は低下できる。
私たち医師の指命の一つであると考えています。


30年間肺がんや胸腺腫など胸の内部の腫瘍の手術を手掛けてきました。
従来の開胸手術は、胸部を10〜20cmも切り、さらに助骨を切って大きく視野を確保し、直接病巣を見ながら行うものでした。
大きく胸を切ることによる体への負担があり、とくに女性の場合、体に残る目立つ手術跡が心の重荷になります。そこで、15年ほど前から、胸腔鏡下手術にいち早く取り組んできました。
今では直径1.5cmほどの穴を4ヵ所開け、細いカメラで内部を見ながらマジックハンドで手術します。
痛みも少なくて、短期間の入院で済む、患者さんの体に負担の少ない、「低侵襲」の手術法で、現在、肺がんの手術の約4割が胸腔鏡下手術になっています。
しかし、癒着があるなどの場合は、胸腔鏡下手術は難しい。がんは病気の進行度により1〜4期に分けられますが、肺がんは進行が速く、1期を過ぎると生存率が大きく低下してきます。
また喫煙者も肺機能が低下していて生存率が低くなります。
1次予防として、喫煙は絶対に避けるべき事だと考えています。
かつて部位別のがんの死亡率では胃がんがトップだったのですが、現在では肺がんが一位となり、さらに死亡者は増加傾向にあります。
これを何とかするためには、早期発見を可能にする優れた健診法が重要だと考えました。
現在、がんには多くの治療法があります。
早期発見ができれば、時間の余裕を持ってさまざまな選択肢を確保し、セカンドオピニオンも得ながら、最適な治療戦略が考えられます。
肺がんにしても、開胸手術にするか胸腔鏡下手術にするかは、検査・治療を行う大病院では担当医の方針に委ねられてしまいます。
しかし、ここで早期発見ができれば、われわれもアドバイスしますし、最適な治療を行っている病院を選択できます。
(きど・てつお)1951年生まれ。北里大学医学部卒業。大手前病院、奈良県立医科大学、大阪医療刑務支所病院法務技官、国立呉病院、大阪府立病院、大阪警察病院呼吸器外科部長等を歴任。胸腔鏡下手術の第一人者。
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